瑞牆山のキロク

ヤマノキロク

瑞牆山とは?

 山梨県北部に位置する標高2230mの山で、奥秩父山塊の主脈のひとつで、日本百名山にも数えられている。

富士見平小屋までの道中にあるベンチからの展望

 独特の岩峰が聳える景観が有名で、花崗岩が風化・浸食作用を受けて形成されたもの。

今回のルート

瑞牆山県営無料駐車場 → 富士見平小屋 → 瑞牆山 → 富士見平小屋 → 瑞牆山県営無料駐車場 

という単純な往復ルート。詳しくは↓

瑞牆山(県営駐車場ルート) / ともがらさんのヤマノススメ巡礼マップ(瑞牆山・金峰山)の活動データ | YAMAP / ヤマップ

登山まで

 2月の赤城山で雪山に魅了されどうにか今年の雪が残っている内に本格的な山に登りたいという気持ちで山を探した所、瑞牆山に白羽の矢が立ったという経緯。

 そして、今回は珍しくソロではない。

 山に登るという話をしたら「ぜひ連れて行って欲しい」と言ってきた、中学生のY君と一緒に登る事になった。

 山登りは高尾山どころかハイキングすらいった事が無いらしく、初めてが瑞牆山…しかも残雪期というのはどうなのかと思ったので、脅かすつもりでネットで拾った写真を見せたところ、むしろ冒険心をくすぐられたようで目を輝かせてお願いしてきたので連れて行かざるを得なくなってしまった。

 現代っ子に自然の過酷さを思い知らせてやろう。が半分。

 登山の魅力を伝えたい。が半分。

 そこに親切心を少々。

 今回も移動手段は車で、家から大体2時間半もう山梨とか長野辺りに住みたくなってきた。

 人がいると全然長く感じないのが凄い。

なんかソロ登山がすげぇ悲しく思えてきた。くそぉ。一緒に山登ってくれる友達とか彼女が欲しいよ。

 という本音はさて置き、中央自動車道須玉インターチェンジで降りて、しばらく街中走って、さらに峠道走ってようやく駐車場到着。

 車で1530mまで登れるから、今回は約700m登るだけで済む。

Y君「そう聞くと楽そうっすね。」

県営無料駐車場(瑞牆山荘)~富士見平小屋

 普段は1人でささっと準備して速攻スタートするけれど、今回はY君が荷物整理にテンパってたから、のんびりスタート

 「これでいいですかね?」とか「これ置いてった方がいいですか?」とか色々聞かれて、まあ可愛いんだこれが。

 周りにはクライミングに来たであろう集団が何組か居て、8時半とかだけど駐車場も6割くらいは埋まってた。

 時間には余裕ある計画にしといたから、Y君があわあわしてるのを横目に景色と空気を楽しむ。

 そんな感じで、のほほんとスタートした。

 ↑の車両通行止めの標識の先へクライミングの人達が歩いて行ったし、明らかに登山道っぽいから、そちらへ進んだのだけど、これが全然遠回りなルートだった。

 しっかり自分で地図を見て歩こうと反省。

 さらに、チェーンスパイクと軽アイゼンを車に忘れる痛恨のミス。

 取りに戻って、30分くらいロスした。

 さらにさらに、ストックを荷台に積んでいたのだが、気づかずに出発した。ミスにミスを重ねてしまった。

 こちらは無くても大丈夫なので、Y君には言わずに心の中で消化人の準備を手伝う前に自分の持ち物を確認しろと言ってやりたい。

 内心かなりテンションが下がっていたのだが、そんな僕の心中など知る由もないY君は、初めての登山にテンション爆上がりで、「あれ凄い」「あそこ登りたい」「写真撮りたい」とか目を輝かせていた。

 その純粋な反応に釣られて、気づけばミスのことなんか忘れていた。誰かと登るってのはこういう良さもあるんだなぁと。

 1人だったらミス出なかった気もするけど、1人だったらテンション上げ直すのは割とキツい。

 僕がテンションを持ち直した頃には、序盤の急登が始まっていて、今度はY君が死にそうな顔になってた。歩き始めだし初の登山だから、休憩を小まめに入れつつだったけど、後から聞いた話では、この時点で来たのを後悔していたらしい。

ただし、

 この景色を見て、Y君の目に光が戻った。僕もこの景色には驚いた。

 急登後のベンチからの景色だが、今からここに登ると思うとワクワクしてくる。ここで行動食も食べて一気に回復し、元気よく出発。

 毎回思うが、登山は最初の30分くらいが圧倒的にキツイ。

 序盤で耐えられなくなって一回休むと、その後は登山モードになっているのか不思議と辛い工程でも大丈夫になる。

 このベンチから富士見平小屋は、そんな遠くなかったと記憶してる。

富士見平小屋~山頂

 富士見平小屋を超えたらすぐにチェンスパが必要な道になった。

そこからは、雪、氷、岩で続く道をひたすら登る。体感としては岩6割、氷3割、雪1割くらいの道なり。

  急ではあるけれど、岩場のため序盤のようにガンガンスピードがでる訳ではないので、そこまでしんどかった印象は残っていない。Y君も辛いより楽しいが勝っているようだった。

 

 ↑氷が張っている鎖場。

左の箇所で、Y君が足を滑らせた拍子にチェンスパが外れ、少し危険な状況になった。

 僕が下でサポートできるように準備しておいたのが功を奏して、なんとか事なきを得たけれど、1人だったら結構危うかったと思う。

 具体的には、滑り落ちたチェーンスパイクを拾って届けたのと、チェーンスパイクを再装着する為の支点確保のサポートを行った。支点確保は1人でも難しくない場面だったけれど、片足で数m下るだけでも結構大変だと思うから、やはりミスのリカバリーという意味でも2人以上で登るのは重要だと感じた。

 僕の立場だとリスクが増えているだけ、という視点は忘れてはいけないが。

 他に取り立てて言うこととすれば、ルートファインディングについてだろうか。

 たまに分かりづらい箇所はあったけれど、周りを見渡せば登山道を示す赤い印が見つかるため、GPSや地図を確認するような場面はなかった。

 後半は岩をよじ登る感じになるけれど、そこは特に難しくも無いし、危険を感じる場所もなかった

 気を付けるとすれば、浮石を踏んで転んだり足を捻ったりする事くらいだろう。

 ↑のような梯子があるところが2~3か所あって、雪の付き方によっては難しかったりするかもしれない。

 Y君も危なっかしくはあったけれど、特に問題なく登れていた。

そして山頂へ。

 爽快!天気も良く、気温も丁度いい。人も少ないし、景色が良い!

 標高2230mなので、眼下に広がる景色の気持ち良さというよりも、遠近様々に見える山々と並んで立っているような不思議な感じ。

 下を見ると、奇岩の数々に圧倒される。

 横を見ると、山がいる。

 上を見ると、青空。

 すごく気持ちのいい景色だった。

 ちょうど昼時だったので、お湯を沸かして袋麺を食べた。

 予め具材を切ってジップロックに入れておいたので、ゆで卵、チャーシュー、ネギが入ったわりとちゃんとしたラーメン。

 なぜハサミが写っているかというと、箸を忘れてきたからだ。仕方なくハサミを使った。今考えると、もう少しいい代用品あった気もする。

 こんな感じで、忘れ物しまくってなんともみっともない感じだったが、Y君は山頂で食べるマルちゃんに感動しすぎて、それどころではない様子だった。

 飛行機も乗った事がないY君にとっては、今まで一度も経験のないほど高い場所からの景色である。

 初めての登山。初めての登頂。初めての景色。初めての山頂ラーメン。

 そりゃあ忘れ物とかみみっちい事はすっぽり忘れるわ。

 凄くいい体験を提供できたみたいで安心した。

下山

 下山は特に何もなく、無事に終わった。Y君は途中から走って下ってくし、岩から飛び降りるから気が気じゃなかった。

 実際、飛び降りた先が雪で転んだし、勢い付けすぎてチェーンスパイクぶっ壊れた。

 下山でメンタルがしんどくなるよりは良かったけれど、買ったばかりのチェーンスパイクを壊されたのは結構うわぁってなった。

 その時は強がって「安物だし、直せば良いから全然大丈夫だよ!」って言ったけれど、貧乏学生の僕にとっては2千円すら惜しいし、帰って確認したら思ったよりバキバキに壊れてた。

 まあ、これで登山仲間が増えれば安い物か。と思う事にして、チェーンスパイクも2千円も元々無かった事に記憶を改竄しておいた。

増冨ラジウム温泉

 恒例の温泉。帰り道の須玉ICに、向かう途中にあるから寄って、ここまでが登山なんだと強く教え込んどいた。

 夕飯は良い所が見つけられなかったので高速のSAで食べた。

感想

 瑞牆山は良い山だった。

 正直、雪山らしい雪山の赤城山とは違うタイプだったので、雪山登りたい欲は満たされなかったけれど、また別の部分が開拓された感じ。

 岩登りというか、クライミングにも手を出したくなるような魅力があって、新たな扉が開かれたように思う。

 労力的にも、ちゃんとキツいけど初心者でも何とかなるレベルで、僕は少し物足りない気もしたけれど、Y君と一緒に登るには最適だったと思う。

 僕は誰かと登る楽しさと大変さを学んだし、Y君は晴れて初登山を成功させた。

 そんな感じで2人とも大満足で帰宅。

 写真の共有とかしてたら、その日のうちにY君から「次どこ登りましょうか」とLINEで言われた。

 無事に嵌ってくれそうで、将来が楽しみだ。

さいごに

 こんな駄文を読んでくれてありがとう。参考にしたり、楽しんで貰えてたとしたら凄く嬉しい。

 次は、肥大化した雪山欲を満たすために険しめの山に登ってみたいと思う。瑞牆山も余裕をもって登れたし、春休み中にアルプスのどこかしらに手を出したい。移動時間を考えると南アルプス(赤石山脈)が現実的かなと思っている。

 登山技術や道具などについても勉強していて、登る山をどんどんレベルアップさせていくつもりなので、もっと参考になる記事を書けるようになっていく予定だ

 興味がある方はぜひ別の記事や今後の記事も見てくれるとありがたい。

 以上、では、お互いによき登山ライフを。

 

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました